朝すっかり明るくなってから、神奈川隊にさらにリュウさんも合流して弘前城観光開始です。リュウさんはゆうべ21時には弘前に着いていたのだとか。300kmを14時間という速さで走って、あと100kmを13時間で走れば認定なのに、明るい時間に弘前の桜を愛でるためにDNFですって。妙にかっこよく感じるのは何かの錯覚でしょう。
そのリュウさんに案内してもらって弘前城公園をお花見観光しました。
朝の弘前城公園。満開の桜は風にこぼれ始め、軽やかに儚い桜流しが舞い、お堀に散った花びらは花筏となってたゆたう。朧々と連なる花の雲の向こうには、青空にくっきりとした輪郭の天守閣と、津軽富士と呼ばれるにふさわしい岩木山の雄姿。一年のうちわずか数日の春容の中に居られるこの幸せ。
感動に打ち震えていると、あそこに見えるは我が男子チーム。T&Tさんにリュウさんも加わると、まぜたら危険、すっかり小学生男子の遠足状態です。あっちも見よう、こっちの写真も撮ろう、ほらほら通行の邪魔になっていますよ、すみませんすみません。……なんて引率の先生はやりません。わたしも物見台の上から、同じテンションで大きく手を振って写真をパチリ。素晴らしい春景色とみんなのいい笑顔。認定との等価交換以上の価値です。 弘前城公園DNF隊 by Hitomi 弘前城公園DNF隊 by Hitomi 弘前城公園DNF隊 by Hitomi 弘前城公園DNF隊 by Hitomi 弘前城公園DNF隊 by Hitomi 弘前城公園DNF隊 by Hitomi
弘前公園~Finish(不老不死温泉)
随分長い時間を過ごし、心行くまで堪能してまた走り始めます。目指すはフィニッシュ地点の不老不死温泉。残りは100kmです。
リンゴ畑の中を日本海を目指す by Hitomi
岩木山を巡るリンゴ畑の道を走り、いくつもの丘を越えて走ります。景色はとてもいいけれど、アップダウンがきついです。30kmほど走るとようやく海に出ました。わあ、日本海。海の色が濃い。
鰺ヶ沢でリュウさんお勧めの「たきわ」で海鮮丼を食べようとしたら、なんと臨時休業。残念!代わりに少し先にある「ドライブイン汐風」に入りました。こちらも人気のお店のようでお客さんがたくさんいます。わたしは「イトウとヒラメの漬け丼」を。うわうわうわあ……美味しい……。これまた幸せ。
イトウとヒラメの漬け丼。川の魚と海の魚のコラボ。 by Hitomi
後はこの海の景色を楽しみながら五能線沿いを南下するだけ。と思っていたら、甘かった、まだまだアップダウンが続くのです。しかも向かい風。
それでも走るしかありません。波風で作られた奇岩のたくさんある千畳敷海岸で写真を撮ったり、いか焼き通りで焼きイカを食べたり、はい、結構楽しみつつ。
日本海沿いを行くDNF隊 by Hitomi 日本海沿いを行くDNF隊 by Hitomi 日本海沿いを行くDNF隊 by Hitomi 日本海沿いを行くDNF隊 by Hitomi
途中でリュウさんに「この先、平坦だけど向かい風の10kmと、のぼるけど5kmの道とどっちがいい?」と聞かれ、すごく悩む。そうか、DNFしたから多少ルートを離れてもいいのね。向かい風も上りもどっちも嫌い。でも選ぶならどっちかなあ…脚はまだ元気だから上りの方が早く着くだろうか。どれくらいの斜度なんだろう。うーんうーんと悩んで無言でいたら、リュウさんがあっさり言うのです。「そんなのあるわけないじゃん」
え?どういう…?
「そんな二種類、今あるわけじゃないってこと。真剣に悩まないように」
……真剣に悩むでしょう、そりゃあ。また騙されたようです。悩み損だ。
皆に笑われながら、ちっ!と心の中で舌打ちしつつ走り続け、ようやくようやくゴールの不老不死温泉に到着。約380kmの走行でした。こんな認定外走行は初めてで、こんな楽しいDNFも初めて。これが癖になったら困っちゃう。 ついに不老不死温泉に到着。 by Hitomi
部屋に荷物を置いて、ざっとお風呂に入り、それからあらためて外の露天風呂に行きます。眼前は日本海。ここが有名な、不老不死温泉の夕陽を臨む海辺の露天風呂なんです。
晴れていてよかった、間に合った、夕焼けに。
「混浴と女性用があって、混浴の方が夕陽が綺麗だよ」と聞いていたのだけど、水着もないし…ということで、女風呂に入るランドヌーズたち。
入ってみたら両者は隣り合わせで、見える景色は全然変わらないじゃないですか。誰ですか、デマをとばしたのは。ここは騙されずに済みました。
少しぬるいお湯に、ほかの宿泊客の方たちに混ざって、大勢つかりながら、みんなで同じ方向を見つめます。カピバラのようです。太陽が大きくなりながら少しずつ海へ落ちて行き、空の色はだんだん桃色が濃くなり、海の青も群青へと深くなっていきます。水平線から海の上を、光の帯がわたしたちの方へのびてきて、やがて燃えるような橙の夕陽が空と海を赤く染めて沈んでいきます。沈み始めたらあっという間です。「わあ…」というため息のような静かな歓声の中、夕日の頭が全部見えなくなると、だれかれともなく拍手がおこって、わたしも胸がいっぱいになりながら手を叩いていました。
こんな素晴らしい夕焼けを、こんな素晴らしい一日の終わりに。一生忘れえない。
みんながゆっくりとお湯から上がっていなくなっていき、わたしたちは最後まで名残の夕空を見ていました。誰もいなくなってから撮った、夕焼けの残滓。
不老不死温泉からの夕焼け。 by Hitomi
浴衣に着替えて、温泉旅館らしい宴席にもりあがり、さあ、素晴らしい二日間を抱きしめて今夜は寝ましょう。明日は3本目。竜飛岬に行くこれまた絶景の200kmが待っています。