増渕俊之
ラレーといえば、クラシックなホリゾンタルフレームが頭に浮かぶ人も多いだろう。細かくバイクを見ていくと、乗り手への配慮にあふれ、ライドシーンを徹底的に想定したつくりであることがわかる。もちろんミニベロも同様で、105コンポを搭載したフラッグシップモデルから、日常使いにぴったりな1台、旅情をかきたてるツーリングミニベロまで、実用主義と様式美にあふれたラレーらしい4台を紹介する。
Raleigh(ラレー)のミニベロとは
▲1950年代の英国、小径車に可能性を見たのはラレーとアレックスモールトンだった。
ラレーは1888年、英国ノッティンガムで設立された自転車メーカーだ。
ラレーの歴史は自転車の歴史と呼ばれるように、老舗中の老舗である。そんなブランドが作る小径車はとてもクラシカル。ロード同様、1960年代のバイク・ディテールを踏襲し、ヴィンテージ好きのマニアから大きな支持を得ている。
▲パフォーマンス十分な標準仕様に、趣味的なカスタムも似合うのがラレーのミニベロ。泥除けやキャリアなど専用オプションパーツに加え、Wレバーにブルックスの革サドル、トゥーストラップなどでクラブモデルの様式美を楽しめる。同モデルである記事トップのイメージとぜひ見比べてみてほしい。
クラシックスタイルに隠された実用性
▲1965年のRSW-16。モールトンに比べシンプルな構造で、老若男女誰でも乗れる設計デザインにラレーの実用主義が見て取れる。小径ホイール=幼児用という固定概念を打ち破るミニベロを生み出した。
実用主義をコンセプトに、変える必要のないものは変えず、長く愛してもらいたいとラレーは考える。無意味なモデルチェンジを避けながらも、常に新たな自転車を開発して製品の発展を行なってきた。もちろん、高性能、高機能、ユーザー本位の設計思想は変わらないのがラレーの持ち味である。
▲独自のフレームデザインとセミフォールディング機構を有したRSW(2005)
今回は、そんな背景に彩られたラレーの小径車を紹介しよう。
おすすめミニべロ全4台
現代的なハイスペックを擁したフラッグシップモデルから、今すぐ旅に出たくなるツーリングミニベロまで、全4台をその特徴とともに詳細までお届けする。
RSC RSW Carlton - 現代を生きるフラッグシップモデル

1965年に小径車の礎を築いたラレーの思想から、現代のコンパクト・フラッグシップを追求した一台。シマノ・105をメインコンポに据え、56Tラージギヤも装備している。
▲ブレーキやハブまでシマノ・105フルスペック搭載(56-42Tスギノラージギヤチェーンホイールを除く)
レイノルズのクロモリチューブを使用したホリゾンタルフレームには、ラウンドしたブリッジとシートステー菱形補強板、シートステー内側のキャリア台座、ラグを模したヘッド補強リングなど、細部まで独自の特殊工作が施されているのが特徴的だ。
▲ラグを模したヘッド補強リングはクロモリとの相性も抜群。シートステー裏側に隠されたダボ穴など、外観と実用性への配慮が抜かりない。
トップチューブには、レトロなWレバーに換装できる台座を組付け済み。また、フロントディレイラーを的確にインストールするためのサブシートチューブを配し、シクロクロスで採用されるケーブルローラーを装備したオリジナルなシフトケーブルルーティングとなっている。
▲Wレバー台座のついたトップチューブにはカーシヴ書体で記されたロゴが。往年の英国クラブモデルではオーナー名を記したポジションでもある。
▲サブシートチューブ上部に余裕を持たせることで、大きなフロントチェーンリングにも対応する。
| 価格 |
162,000円(税抜) |
| コンポーネント |
シマノ・105 |
| サイズ |
460、520mm |
| カラー |
キャニオンレッド、スチールグレー |
RSS RSW Sport-フラットバーとホリゾンタルフレームが"ちょうどいい"モデル

美しいプロポーションで好評を博した「RSM」のデザインと仕様を継承し、完全水平のホリゾンタル・トップチューブのフレームをまとって蘇ったクロモリモデル。2019年モデルからは520サイズが追加され、180㎝台の人まで快適に乗れるようになった。
ミニベロロードで定番化したETRTO-451規格の20インチホイールを採用し、走行性能とともに存在感を向上させている。リムはポリッシュ仕上げ、ベージュカラーのスキンサイドタイヤを装備することで足元を引き締め、ツーリングにも対応する。
▲ラレーミニベロに共通するETRTO-451ホイール、小径車とは思えない走りを実現
軽量アルミ合金のマッドガードは、ラレーが長年受け継いできた英国車伝統のデザインだ。アジャスタブルステーは美麗なクリアランス調整が可能である。デカールデザインも、ラレークラシックのアートワークを継承。ほぼ一世紀に渡って変わることのない完成され尽くした意匠が、オリジナルマッドガードとともに本機を飾る。
▲マットガードはロールフォーミングによる絶妙な曲がり形状で、ポリッシュ仕上げ&クリアコート処理が施される。アジャスタブルステーと吊り金具による細かいクリアランス調整が可能だ。
サドルは適度な硬度を持つ高密度のウレタンフォームを採用。溝加工クラシックデザインのマイクロアジャストシートポストにより、ポジションに合わせた微細な調整が可能となっている。
▲このあと登場するRSMとRSSは同価格帯ながら、サドルに至るまで各モデルにあった形状を考慮。RSMのほうがよりコンフォート仕様であることがわかる。
| 価格 |
62,000円(税抜) |
| コンポーネント |
シマノ・アルタス |
| サイズ |
480、520mm |
| カラー |
アガトブルー、ダークグレー、ミスルトカーキ、オールブラック |
RSM RSW Sport Mixte-シティライドを想定した細かい配慮が光る

街と共棲する機能を進化させるため、またぎやすいミキストフレーム設計によるクロモリモデル。上記「RSS RSW Sport」と同様、451ホイール、オリジナルフェンダー、コンフォートサドルを装備し、様式美のプロポーションも追求している。
チェーンホイール装備のギヤガードにより裾の汚れを防ぎ、インナー側のガードは変速時のチェーン脱落を低減。ペダルは踏み面にラバーをインサートして、スリップ防止に対応している。
▲ギヤガードに踏み面にラバーのついたペダル。より日常使いを重視した細やかな気配りは実用主義のラレーらしい。
チェーンステー下側に直付けされた台座に、ダブルレッグセンタースタンドを配備。アルミ合金製により軽量で脚長調整機能を有し、スマートな外観となっている。使用時には二本脚で両立して、安定した駐輪が可能となった。
▲毎日の街乗りでは無いと困るスタンド。走行時は目立たずスタイリッシュな外観が保てるのも嬉しい。
| 価格 |
62,000円(税抜) |
| コンポーネント |
シマノ・アルタス |
| サイズ |
480、520mm |
| カラー |
アガトブルー、ナチュラルカーキ、アイスホワイト、エイジングレッド、オールブラック、クラブグリーン |
RSP RSW Special-ツーリングミニベロ

カスタムメイドにも迫る作りを実現したミニベロ・ツーリング車。スモールホイールでありながら、フルサイズマシンにも匹敵する走行性能を秘めたフレーム設計のクロモリモデルである。ギヤレシオやコンポアッセンブルにより、小径車が持つ障壁の克服も目指しつつ、クラシカルな造形も織り込んでいる一台だ。
▲名車「ラレー・レコード・エース」(左)に準じたデカールアートワークをまとう。
名品マイティコンペで用いられた「王冠S」ロゴをレーザー刻印したクランクに、精密機械による加工仕上げのチェーンリングを組み込んだ専用仕様のSUGINOチェーンホイールを装備。的確な角度のために設けられたサブシートチューブを設け、コンポーネントはシマノ・クラリスを搭載している。
▲変速性が向上した新クラリスと、ETRTO-451規格のARAYAリム「SP-30」で走りも妥協ナシ。クラシカルパターンのブラウンサイドタイヤを履き、足回りの美観とともに走行性能も高めている。
大きな特徴はポリッシュ仕上げされたオリジナルのステムで、クラシックな輝きを放つ。ブレーキレバーの他にトップマウントレバーも備えており、上体姿勢での制動も可能。変速レバーはトップチューブに配し、ブラケットポジション、アップライトポジションの両方からの操作性が向上している。
▲コックピットよろしくハンドル周りは乗り手の個性が良く表れるものだが、乗り手が決まっていない状態でもテーマが伝わってくる。どこをにぎっても制御の効くブレーキ、Wレバーでケーブル類がフロントを邪魔しないつくり……どんな装備で旅に出ようか?
| 価格 |
94,000円(税抜) |
| コンポーネント |
シマノ・クラリス |
| サイズ |
480、520mm |
| カラー |
グロスブラック、クイーンズアイボリー |
2019年ロードバイクも見てみる
ラレーの世界をもっと味わいたくなった?ロードバイクでもその一貫した持ち味が見て取れる。
まとめ
クラシカルな風情なのに高性能で高機能。ラレーのテーマである「変わらないこと、進化すること」への追求がそこに込められている。ヴィンテージマニアだけの愉しみにしておくのはもったいないことだ。街を走る自転車が総じてラレーの小径車である景色を想像してごらん? 素晴らしいではないか! 魅力たっぷり、個性ふんだん。一度乗れば、きっとあなたもその魔力の虜になるはず。ラレーの小径車、侮ることなかれ。
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新家工業
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