水を使った本格洗車(後編)~ひとりで100㎞走るためのメンテナンス講座#16

水を使った本格洗車(後編)~ひとりで100㎞走るためのメンテナンス講座#16

初心者ライダーがひとりで100㎞ライドに出かけて、問題なく帰ってくるためのメンテナンス方法を紹介する連載企画。続けて読んでもらえれば、ライド前に必要な準備はもちろん、ライド中のトラブルに対応/回避するために必要なメンテナンスの知識が身につくと思います。無事に100㎞ライドを終えたころには脱・初心者です!

まず頑固な油汚れにディグリーザーを塗布

前編では洗車に必要な道具を紹介しました。今回は実践編です。洗車を完璧に覚え、愛車がいつも綺麗できちんと潤滑された状態を保てれば、もう初心者ではなく次のステップに立っていると言えるのかな、と個人的には思っています。 ロードバイクの洗車は、頑固な油汚れと、泥や汗などの汚れに分けて、2段階で行っていきます。まずはチェーンを中心とした油汚れから。 はじめに、いらなくなったボトルをカットしてボトルケージに装着し、中にディグリーザーを注ぎます。種類によりますが、30~50mlぐらいと少量でいいですよ。 ちなみに・・・分かってる人には余計な話ですが、念のため。ディグリーザーの「ディ」は「分離・除去」を表す接頭語で、「グリーザー」は「油脂」のこと。ディグリーザーは油を溶かす、「油脂類除去剤」のことです。
バイクの中心に位置するため汚れにアクセスしやすい。
▲バイクの中心に位置するため汚れにアクセスしやすい。
今回は超強力なワコーズのフィルタークリーナーを使用しました。初めてチャレンジする方は、ワコーズならばパーツディグリーザーのほうが環境負荷も低く低刺激で扱いやすいかと思います。洗浄剤などのケミカルについては、連載の8回目で紹介していますので参考にしてください。 では、ハケを使ってディグリーザーを油汚れに馴染ませていきましょう。塗る場所は、チェーン、チェーンリング、前後ディレイラー、スプロケット、それにブレーキです。
ディグリーザーをハケに含ませる。
▲ディグリーザーをハケに含ませる。
ハケは油性のモノなら何でも使えます。ベルギーのケミカルブランド、モーガンブルーが販売している自転車のチェーン専用のハケは専用品だけあって使い勝手がよくオススメです。 順番はどこからでもいいのですが、僕は汚れの少ないディレイラー、ブレーキから塗っていきます。
リアディレイラーにはハケでつつくように塗っていく。
▲リアディレイラーにはハケでつつくように塗っていく。
リアディレイラーは入り組んだ形状をしているので、空いている手で押したりしながら、上下裏表、様々な角度からハケの先でつつくように塗布します。プーリーにはクランクを回して回転させ、裏表から塗りましょう。
フロントディレイラーは全体をハケで塗った後、ねじりブラシにディグリーザーを付けて擦ってあげるときれいになります。
▲フロントディレイラーは全体をハケで塗った後、ねじりブラシにディグリーザーを付けて擦ってあげるときれいになります。
ブレーキにもディグリーザーを塗布する。
▲ブレーキにもディグリーザーを塗布する。
後から中性洗剤でもしっかり洗うので、軽めにしておきます。ゴムへの攻撃性が低いケミカルならば、ブレーキシューについても気にしなくていいです。
チェーンリングにも丁寧に塗布してあげよう。
▲チェーンリングにも丁寧に塗布してあげよう。
チェーンリングは回転させ、裏表からハケをあてて、擦るように塗っていきます。インナーは塗りにくいのですが、ハケの角度を変えながら多めに塗布してください。
スプロケットもお忘れなく。
▲スプロケットもお忘れなく。
スプロケットは、硬めのブラシ少しずつ回転させてゴシゴシと塗布していきましょう。僕は100均で売っているお風呂用のコーナーブラシを使っています。
チェーンにはたっぷりと塗布していく。
▲チェーンにはたっぷりと塗布していく。
油汚れの親玉、チェーンにはたっぷりと塗布します。その後、チェーン内部の油汚れとディグリーザーを馴染ませるため、硬めのブラシでテンションをかけながらブラッシングしていきます。僕も汚れがひどいときには使っていますが、パークツールのサイクロンのようなチェーン洗浄機を使うのもいいでしょう。 ここまでの要領は、以前紹介した室内でできる水を使わない洗車と同じですから参考になると思います。

ディグリーザーと汚れを水で洗い流す

ディグリーザーを塗布した箇所に水をかけていく。
▲ディグリーザーを塗布した箇所に水をかけていく。
ここで初めて水の登場です。散水用のホースヘッドを使い、強めのすこし広がった水流で水をかけていきます。ディグリーザーが残っているうちは黒っぽかったり白濁した水が垂れていきます。水が透明になるまでじゃんじゃんすすいであげましょう。
チェーンは徹底的にすすぐ。
▲チェーンは徹底的にすすぐ。
チェーンは、水をストレート形状に絞り、クランクを回しながら、これでもかとすすいであげましょう。内部にディグリーザーが残っていると、潤滑用のオイルを分解してしまいますからね。

中性洗剤でバイク全体を洗車する

中性洗剤を泡立てる。
▲中性洗剤を泡立てる。
ディグリーザーのすすぎが完了したら、バケツに中性洗剤を入れ、ストレート形状の水で泡立ててあげます。次に、ホースの水を霧状にしてバイク全体を湿らせて汚れを浮かせます。スポンジに泡をたっぷり付け、サドルやブラケット、ハンドルなど、バイクの上部から軽く擦って洗車していきます。
サドルの裏も汚れが溜まりやすい箇所だ。
▲サドルの裏も汚れが溜まりやすい箇所だ。
ここで落とす主な汚れは、泥や汗、ドリンクなど中性洗剤で簡単に落ちるものです。フレームの塗装面はゴシゴシ擦ると傷を付けてしまう恐れがあるので、洗顔のように、泡で汚れを包んであげるイメージで洗ってください。この工程が洗顔なら、ディグリーザーを使う工程はメイク落としに相当します。という説明が女性(とメイクをする男性)には分かりやすいかなと思ってよく使っています。
バイクの裏側もしっかりと洗おう。
▲バイクの裏側もしっかりと洗おう。
BB周りやチェーンステーの内側はチェーンオイルの飛散や泥ハネで汚れやすい箇所です。しっかり洗ってあげましょう。
チェーンも中性洗剤で再び洗浄する。
▲チェーンも中性洗剤で再び洗浄する。
先ほどディグリーザーで洗った箇所、特にブレーキ本体とブレーキ周りやリムのブレーキダストが付いているようなところはゴシゴシ洗います。まだまだ汚れが出てくることがあるので、フレームやサドルとは別のスポンジを用意しましょう。バーテープやタイヤはスポンジでもいいですが、ブラシの方がよりしっかり洗えます。ここもゴシゴシとしっかり洗ってください。スポークも案外汚れています。一本一本洗ってあげましょう。あ、ペダルもお忘れなく。
霧状の水で全体をすすぐ。
▲霧状の水で全体をすすぐ。
霧状の水で泡をしっかりすすげば洗浄作業は完了です。バイクの下からもすすいであげましょう。 汚れは落ちましたが、バイクはびしょ濡れです。ディグリーザーで脱脂した状態で水分が付着しているのは金属によくありませんね。錆びてしまします。ブロアーで水分を飛ばせればベストなのですが、電源や音、値段の問題で導入は難しいかと思います。乾いた綺麗なウエスで水分を拭き取り、前後のホイールをはめて自転車をバウンドさせるようにして水を切りましょう。 ディレイラーやブレーキにはワコーズのメンテルーブなどですぐに注油します。水置換性があるので、水を追い出して潤滑してくれます。チェーンもすぐに錆が出るようならば、メンテルーブを軽く差し、出てきた水分を拭き取りましょう。105以下のグレードのチェーンはすぐに錆が出てくるものがあります。ステムやトップキャップのボルトも鉄製だと錆びることがあるので、このタイミングで水分を拭き取って軽く注油しておきます。注油については、以前の記事から、こちらこちらを参考にしてください。 その後、ホイールを外してリアを下にして風通しのいい日陰にたてかけて乾燥させてあげます。乾燥後、チェーンにしっかりと注油しましょう。
ワックスで仕上げて完了です。
▲ワックスで仕上げて完了です。
乗るのがもったいないぐらいピカピカになりました。はじめてやると、トータルで2時間かそれ以上かかるかもしれません。でも慣れてくればお風呂で身体を洗うようにほぼ無意識の自動作業になり、洗っている時間は10~15分ほどに短縮できるかと思います。ロングライドの前後に行えば各部の動きが軽くなって走りも見違えますから、洗車する環境が整えられる方はぜひチャレンジしてください! ●バックナンバー【ひとりで100㎞走るためのメンテナンス講座】 第1回/空気の入れ方 第2回/簡単なチェーン掃除法 第3回/水を使わずチェーンを洗う(準備編) 第4回/水を使わずチェーンを洗う(実践編) 第5回/出先でのパンク修理に必要な7つのギア 第6回/確実にサッと行う出先でのパンク修理法 第7回/ねじ、ナメたことない? 正しい工具の選び方 第8回/ロードバイクに使えるケミカルの基礎知識(前編) 第9回/ロードバイクに使えるケミカルの基礎知識(後編) 第10回/変速機の調整(前編) 第11回/変速機の調整(後編) 第12回/リアディレイラーが折れても走って帰れる? 第13回/命を守るブレーキの調整方法 第14回/消耗パーツのチェック箇所 第15回/水を使った本格洗車(前編)
監修:Viking the Maintenance石橋
トップに戻る