急ブレーキも怖くない! 安全に止まるためのバイクコントロール~自転車の処方箋#12

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「自転車の処方箋」は、サイクリストの悩みに元プロロードレーサーが、スパっと回答する連載企画です。千葉県のTAKASHIさんから「レバーを握るだけなのに、止まるときになんだがフラつく」という悩みをいただき、前回に続きブレーキングについて解説しています。それでは管さん、今回もよろしくお願いします!

きちんと止まれないから怖いし危ない

前回からのおさらいです。 ブレーキングには大きく分けて次の3つの使い方があります。
  1. 停止線に向けて徐々に減速して停止するブレーキング
  2. オーバースピードになりそうな場面で減速するためのブレーキコントロール
  3. 前方の危険な状況でとっさに対応するフルブレーキング
前号では1を詳しく解説しました。今回は2と3について、コントロールのポイントを説明していきましょう。

2.オーバースピードになりそうな時には

コーナーリングの手前や下りなど、減速を必要とする場面は多々あります。中速域からの急激な減速は停止に至らずも重心が前方へ移動し、ハンドル荷重のリスクが高まります。こういった場面では、クランクは水平にサドル上の腰の位置を少し後ろに引いて胸を低く構えることで、制動での重心コントロールを失ってしまうリスクを回避できます。

体勢を低く構えること

胸を低く構えることでヒジが自然に軽く曲がり、ハンドル荷重が抜けます。また、ハンドルに片寄らないことで自然と腰まわりの体幹(下っ腹に力を入れる感覚)が高まり、バランスを取ろうとする軸を意識し易くなります。体幹部の強さに不安がある方は、両膝をトップチューブに当てるとよいでしょう。これにより目線が下がり、路面状況などの走行環境にもしっかりと対応できます。 この時、ヒジをハンドルより少し外に開くと、バイクが懐におさまりいっそうコントロールがしやすくなります。そして、クランクを水平にしたまま後ろ足のカカトを下げ、両足でグッと踏ん張りを効かせると、足下で重心バランスを捉えられ、コントロールが容易になります。 初心者の方で、腕を伸ばして身体を起こし、流れる地面から視線を逃がそうとする姿をよく目にします。しかし腕を突っ張った状態は、制動力を加えたときに重心が前へ持っていかれます。荷重がダイレクトにハンドルにかかるため、少しハンドルをブラしただけで大きくバランスを崩してしまうのです。 フォームのポイントは3つ
  1. サドルの乗車位置はやや後へ、下っ腹に力を入れる
  2. 胸を低く構え、ヒジを軽く開いた状態で曲げる
  3. クランクは水平、後ろ足のカカトを下げる
詳しくは以前紹介している下りのフォームの記事を参考にすると良いでしょう。

前後ブレーキのコントロールも重要

ブレーキングコントロールのポイントは、人差し指に中指を添えてブレーキレバーをタッチするとよいでしょう。中指は、細かな加減でレバーをタッチをすることが得意で、適正なスピードまで落とす場面で非常に役に立ちます。 前後のブレーキの減速コントロールのコツは、コーナーまでの距離に余裕がある場面ではフロントブレーキを中心にコントロールします。長い下りなどで手元が疲れるようでしたら、リアブレーキを間に挟むのも良いでしょう。 コーナー直前、またはコーナーの最中に減速の必要性を感じたら、リアブレーキでコントロールしましょう。リアブレーキは制動が穏やかな上、制動時にハンドルコントロールへの影響がないので、落ち着いてコーナーリングに向き合うことができます。
減速時は、腰を後ろに引きカカトを下げて重心を後方に移動する。細かいブレーキタッチは中指で行う。
▲減速時は、腰を後ろに引きカカトを下げて重心を後方に移動する。細かいブレーキタッチは中指で行う。

3.前方の危険な状況でとっさに対応するフルブレーキング

やむを得ない状況でフルブレーキを強いられることも、ライドをしていると出くわします。こんな場面では、左右のブレーキレバーを強く握ると同時に胸を低く、腕を思いっきり伸ばして腰を後方へ引き、障害物手前でしっかり止まれるまでその姿勢をキープします。強く効かせたフロントブレーキに加えて、重心が後ろに寄ることで後輪へ荷重がかかりリアブレーキが効果的な制動力を生み出してくれます。制動能力を確かめるために、安全な場所で練習をしてみると良いでしょう。 また、ダイナミックに腰を引くことで、前転のリスクも防げます。完全停止の瞬間までこの体勢を維持するのが良いでしょう。ここでもポイントになるのが、クランクに荷重をかけてカカトを下げるテクニック。後方へ腰を引くと自然とペダル位置は2時と7時あたりにおさまり、制動により体勢が前方へ投げ出されるベクトルに抵抗しやすくなります。 ブラケットの握り方にもポイントがあります。巡航時は親指と人差し指でブラケット挟むように握っていますが、ブラケットのサイドを覆うように構えると強くレバーを引きやすくなります。親指の第一関節でブラケットのトップを引っかけるとよいでしょう。 下ハンドルの方が力強くレバーを握れるのですが、咄嗟のときに下ハンドルに持ちかえるのは難しいです。ブラケット中心に構えるライダーは、ブラケットでのフルブレーキをオススメします。心に余裕を持たせるために、練習してみましょう
フルブレーキ時は、ブレーキレバーを強く握ると同時に重心を後ろに寄せる。
▲フルブレーキ時は、ブレーキレバーを強く握ると同時に重心を後ろに寄せる。

車輪ロックはベテランでも緊張が走る!

自転車歴28年を迎えたベテランの私。 車道やサイクリングロード、レースでのアクシデントで車輪をロックした経験は数知れず…。 たとえ車輪がロックしても、今ではベテランの落ち着きと技術練習の経験を生かして、コントロールはできます。でも内心はヒヤーッと冷たくなるもの。なぜなら転んでしまった経験が沢山あるからです。 ロードバイクの走行中に転んで、かすり傷で済めば幸運中の幸運。たいていは大事なバイクのパーツが折れ曲がり、ヘルメットは割れて身体は傷だらけ…。帰路のライドも惨めな思いを背負いながらトボトボと…。転ぶか転ばないかは紙一重な状況にありながら、それでも転ばないことは非常に重要なのです。 以下に前後輪がロックした場面を紹介しますが、大事なのはこうならないために危険予測の習慣をつけて走ること、安全マージンをしっかりとり車間を保つことです。

前輪ロックで後輪は飛び上がる

突然の前走者のトラブルや、クルマが急に路肩に寄ってよって駐車したときなど、思わずレバーを強く引いて車輪をロックしてしまうことがあります。 フロントブレーキをロックすると、後輪がフワッと浮いて前転のリスクが高まります。この場面では、お腹に力を込めて後方へ腰を大きく引くことで飛び上がる後輪へ荷重し、前転へのリスクを回避します。このときに両手で均等にハンドルを押すことが重要で、ハンドルが少しでも切れてしまうと、前輪だけで保っている体勢が一気に崩れて転んでしまいます。頭部損傷や鎖骨骨折に繋がる転び方になるので、前輪ロックにならない走行環境を整えましょう。
前輪ロック:前のめりになり、後輪が浮き上がる“ジャックナイフ現象”が起こる。
▲前輪ロック:前のめりになり、後輪が浮き上がる“ジャックナイフ現象”が起こる。

後輪ロックで体勢を崩すとスライディングしてしまう

リアブレーキで後輪をロックすると、重心のバランスによっては倒れてスライディングしてしまいます。特にバイクを倒し込んだ下りのコーナーではこのリスクを考えなくてはなりません。まずはオーバースピードでコーナーに侵入しないように注意しましょう。 しかし濡れた路面では、大して強くをレバー引かなくても後輪がロックし流れてしまうこともしばしば。ちょっと滑ったと感じた瞬間に、ブレーキを離せば立ち直すこともできます。 そして後輪が流れ始めてしまった場面でも重心移動で体勢の安定を確保し、転倒のリスクを避けられるテクニックが“スタンスの姿勢”です。「滑ったな…」と感じた瞬間に、クランクを水平にして体幹に力を入れます。これで車体が傾かないようにキープできれば上出来。後輪から少し倒れ込んでも両足荷重の状態で踏ん張ると、タイヤのグリップが持ち直して体勢を立て直せることもあります。 それでも体勢が崩れる場合は、腰から地面に着地して転がる落車となります。これは骨盤骨折に繋がるケースが多い転び方です。またグループ走行やレースの場面では、後輪がロックして流れることで、回りの方を巻き込む恐れがあります。
後輪ロック:後輪が滑って振れる“ドリフト現象”が起こる。
▲後輪ロック:後輪が滑って振れる“ドリフト現象”が起こる。
ロードバイクを楽しむためにも、リスクを最小限にしたいですよね。 今回は2回に渡りブレーキングの方法について紹介してみました。 ●バックナンバー 第1回:上手い下りの走り方 第2回:楽しく上るための回転数と心拍数の関係 第3回:予習が上りを楽にする 第4回:緩い上りは“もも裏”で効率的に上る 第5回:平均勾配7.8%の激坂の走り方 第6回:斜度に合わせてシッティングとダンシングを使い分ける 第7回:バイバイ立ちゴケ! 走行スキルを高める“スタンス”とは? 第8回:「自転車が下手だな」と思うなら…各段にうまくなる“チョコチョコ乗り”を 第9回:段ボールでマスターする平地のダンシング前編 第10回:“華麗なダンシング”のための3つのポイント 第11回:スマートに止まるブレーキングの極意

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